スポーツ

2007年8月 9日 (木)

ビリーがもたらす明るい未来。

  ビリーズ・ブート・キャンプ。今、日本では誰もが1度は耳にしたことがあるだろう。説明無用だろうが、それは通販で買えるダイエットのためのDVソフトだ。子供たちが飛行機ブンブンブンと言ってる、あの水平にした両腕をクルクル回す運動なら、誰もがちょっとは見たりやったりしたことがあるだろう。
 ビリーズブートキャンプ。今回は、それがどれだけ日本人やその文化全般にとってワンダホーなものかについて書きたい。Billy_blanks_navy
 【ビリーのWIKI的紹介】
 僕も最初は、CS-TVCMで、この通販CMを見るたびに、ウットーしいなぁと思っていた。が、ビリーが来日して、幾つかのTV番組で彼を見るうちに好感がわいてきた。特に、この月曜にスマスマで、ビリーが香取クンとコント共演したのはケッサクだった。
その主役であるコーチのビリーとは、アメリカ・WIKIで調べるととても多才な人だ。アメリカでも1番は、ダイエット・エクササイズの人として有名だが、Tae Boの創始者と見られてる。98年くらいにブレイクしてて、バスケのシャキール・オニールなどのセレブ信奉者も多い。過去には7回もカラテの全米チャンピオンになってて、役者としてハリウッド映画にも出てる。
 日本では、もちろんビリーズ・ブート・キャンプの鬼隊長として有名だが、実際は兵役経験がなく、米軍のインストラクターを長年務めていた。また、英語版WIKIでは、早くもここ最近の日本での大ブレイクも取り上げられてて、それにリンクして日本でのビリー・ブームを伝えるUSA Todayの映像も見れる。見たい方はクリック。その中でビリーは、成田空港で大勢のファンの歓迎を受けた事に対し、ビートルズやマイケル・ジャクソンになったみたいだったと言ってる。その映像では、ビリーもビートルズみたいにハッピ姿で現れてる。
【人は、何かに熱中したい】
  メーカーによると、ビリーズ・ブート・キャンプのDVセット販売数は100万本を突破し、総売り上げは100億円を超えたという。
 ここまで来ると、ただのダイエット・ビズではなく、カンペキな社会現象だ。昨日、近所のAEONに行くと、エスカレーターで、例の飛行機ブンブンをやってる子供たちを見かけたりもした。
 まず、軍隊式トレーニングをダイエットに持ってくるアイデアがいい。何でも縦割りの日本ではありえない発想の飛躍だ。も1つは、「ダイエットしたいなら、運動しろ!」というキャッチコピーだ。シンプルでクール。そして意味深いメッセージでもある。
 そこで思うのは、購買層は皆んなダイエット目的なのか?という事だ。少なくともその1割は、エクササイズ好きな人か、好奇心で始めようと思った人たちだろう。ビリーの2度の来日を受け、この真夏の日本ではさらにそんな、ユカイ購買層が増えることだろう。

 例の熱血漢、松岡修造が、TBSの「情熱大陸」に出た時にこんな事を言ってた。「ファンレターの中に、とにかくシューゾーさんに熱血指導されたいっていうものが多いんですよ。でも、僕はテニスを教えるために、子供たちに指導してるワケでね。目的もなく、人に熱血指導なんか出来ませんよ。」 そこには、このビリー・ブームとも重なるものがある。
 【夢を与えるビリー】
人の中には、何かに、ただ熱狂的に従いたいという欲求がある。その対象は何でもいい。そしてその多くは、大きな情熱を持ちながら、夢を見失ってる人たちじゃないだろうか?回りに流されて、夢を見つけられずにいる人。または、ザセツを繰り返して、夢を見れなくなった人。僕自身、ビリーにひかれるのも、そんな心理があるからだと思える。
 ビリーズ・ブート・キャンプは、そんな人たちに夢や熱狂の代用品を与える。けれど、それは同時に、本物の夢に向かうキッカケも与えるのだ。
 ビリーの7日間・集中エクササイズを経験すれば、多くの人が過食を繰り返すことはないだろう。そして、自分が本当に熱中したいことに意識が向くんじゃないだろうか。ビリー自身もエクササイズの途中で、「自分の内なる力を信じろ」と繰り返し言ってる。
 そういう啓発的な面もまた、このビリーズ・ブームの大きな1因に違いない。
【地球に優しいビリーズ・ブート・キャンプ】2005_march_of_the_penguins_012_2
  また、これは文化的にも大きな貢献だ。過食とダイエット産業とは、先進国家の持つ最悪のダークサイドだ。まず、過食産業は貧困地域の飢えを増長させる。その背景には、人の欲をムリヤリ刺激する、過剰生産、過剰広告がある。つまり、過食現象とは、人がキャピタリズムの家畜になってることの表れだ。さらにダイエット産業は、そんな人たちを食い物にする。「楽してやせる」をキーワードにして、薬品や食事療法、電化製品を次々に売り出す。つまり、過食産業とタッグを組んで過剰消費の悪循環を生み、引いては地球環境をハカイしている。
 そんな中にあって、ビリーズ・ブート・キャンプは、すごい。まさに救世主だ。
 もし、これが世界中に浸透すればダイエットという言葉は消え去り、誰もがタンレンや精神性の向上のためにエクササイズをする時代になるだろう。
 だけど、僕自身はDVセットまで買って、励むことはないなぁ。だって、1セットで1万5千円だよ……それが、100万セットも売れるなんて、日本はマジにすごい。僕の場合は、ただ、ジョギングの最中に、有名な幾つかのワザをやってみるくらいだろう。
 それにしても、何か久々に日本に生まれた明るいブーム。日々のメディアの中、大勢の生徒を前に飛行機ブンブンするビリーを見ただけでも、元気にさせられるね。この夏、皆んなも、ビリーと1緒に汗を流して、ヴィクトリー!を体感しよう。■

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2007年8月 5日 (日)

世界陸上、北欧の美しきケモノたちが丸亀にやって来る。

For_blog 【丸亀とカロリナ】
 四国は香川にある坂出市。僕は今、そこで暮らしている。瀬戸大橋がある町といえばピンとくる人がいるかも知れない。華やかでもなく、寂れてもいない。時と共にゆったりと変化してる、ありふれた地方街だ。
 が、そんな坂出の隣町、丸亀に後10日ほどで、衝撃が走る(笑)。なぜなら、Carolina Kluft.(カロリナ・クリュフト)がやって来るからだ。と言っても、日本では誰それ?という人がほとんどだろう。僕にしても、今日その名前を覚えたばかりだ。
 クリュフトは世界的なアスリートで、この5年ほど、7種競技種目で世界トップの座に君臨してる女王だ。スウェーデン出身の24歳で、Lookin Good!でもあるので、モデルの仕事もしてる。なぜ、そんな人がこの夏、はるばる丸亀にやってくるんだろう。と、こう書けば、ピンとくる人がいるかも知れない。そう、それは世界陸上・大阪があるからだ。彼女のいるスウェーデン・ナショナル・チームは、その直前合宿地に香川の丸亀スタジアムを選んだ。スウェーデンの他にもノルウェー、フィンランド、デンマークと北欧4カ国がそろってやって来る。
【世界に羽ばたく、うどんの国】
 今日の朝日新聞に、世界陸上の合宿地に選ばれた日本の各市が掲載されていた(下図参照)。Lastscan_2
 12の市が世界各国のアスリートを受け入れる予定だが、国の数は香川が最多だ。記事によると、去年、大阪視察にやって来た各国代表団に、香川が猛アピールしたからだそうだ。香川は最近、地域PR活動をさかんにやってる。しかもそれは今回のように、海外に向けたものだ。香川に属する直島では、この数年、映画007のロケ地になるのを目指し、制作会社に積極的にアプローチし続けている。この北欧チームの招致はまた、北京オリンピックの合宿地に選ばれるための布石でもある。もし、そうなれば海外からの観光客も増えて街は、活性化することだろう。
 香川、がんばってるよ。特に丸亀は最近、市街地が空洞化してて、フジ・テレビの中野美奈子アナの出身地という事ぐらいしか自慢がなくなってる。とにかく、イナカほど、こういう画期的なチャレンジが県民に誇りを与えるもので、そういう共通意識が地域発展の核になるものだろう。
【カロリーナについてのWIKI的紹介】
 さて、それはともかく、カロリーナ。 僕は彼女のことをアテネ・オリンピックで金取ったくらいからボンヤリ知っていた。その後、CNNのスポーツニュースで何度か特集をやってるのを見て、カワイイんで録画もしていた。それくらいの興味であり、名前も顔も覚えてなかった。つまり、北欧4カ国のアスリートたちが隣町にやって来るというニュースを知って、そういえばキュートなコがいたなと思い出したワケだ。そうして今日、ネットで色々調べてくうちに1気にファンになった。
 さて、このCarolina Kluftについて、Wikipediaを元にもうちょっと説明しよう。彼女の専門競技は、Heptathlon.と言われる7種競技だ。とにかく、飛んだり投げたり走ったりという超人的な種目である。あまり、注目されることはないが、その多様性から、チャンピオンは、アスリートのキングとかクイーンとかと言われる。カロリーナもまた、Queen of Athlete.という異名を持ってる。
 実績を上げると、オリンピックでは04年アテネで金。 世界陸上(World Championship)では、パリ、ヘルシンキで2回、金。今回の大阪・世界陸上で、3連覇を狙う。ヨーロッパ大会でも、2つの金。2002年からずっと、IAAF(国際陸連)によって、7種競技、世界トップ選手にランクづけられてて、現役陸上選手として、それは誰よりも長い記録だという。
  ローレウスが毎年主催する、世界のスポーツマン・アワードがあり、今年はテニスのロジャー・フェデラーと、棒高跳びのイシンバエワが選ばれたことは有名だ。そして、カロリーナも、これに3年連続、最優秀女子スポーツ選手の候補に挙がっている。Kluft72

【セレブで、人道的な彼女】

 若くてキュートで親しみやすいキャラなので、ポップスターなみの人気もあるそうだ。靴メーカー、ReebokCMにもサッカーのティエリ・アンリなどと共に起用されている。プライヴェートを言えば、1緒に暮らしてる、走り高跳び選手のボーイ・フレンドがいる(NO-----)。また、大学に通ってて、Peace and Development.(平和と発展)を専攻。社会活動も熱心で、アフリカの子供を支援するグループのスポンサーにもなってる。

ま、とにかく人気実力ともに世界トップクラスのスポーツマンであり、かつ人としても洗練されてるワケだ。YouTube.で、彼女のインタビューが見れるが(見たい方はこちら、Carolina Kluft.)、彼女はそこで「子供の模範になれるようなアスリートでありたい」といったコメントをしてる。また、CNNの特集では、「世界記録よりも、試合を楽しむことが大切。私はスポーツが好きで競技が好きだ。楽しむことが私のモチベーション。」みたいなコメントをしてる。そこからは、誠実で純粋な素顔が伝わり。とにかく、僕はネット・サーフィンを続けるうちに、そんな彼女のトリコになった。 もちろん、キュートだからでもあるけどね。
【北欧の美しきケモノたち

 もちろん丸亀スタジアムにはクリュフト以外にも、メダル候補のアスリートがやって来る。男子3段飛びのオルソンや日本では空飛ぶスーパーモデルの名で有名なハイ・ジャンプのベリークイストなどだ。けれど、北欧は男も女もキレーな人ばかりなんで、有名無名に関わらず、見るだけで楽しませてくれることだろう。
 アメリカのハリウッド女優でも、元を見れば北欧の人が多い。Uma Thurman. Kirsten Dunst.今、大人気のScarlett Johansson.などもそうだ。北欧人には、神秘的なベールのようなもんが共通してあって、ウットリさせるよねぇ。だけど、陸上選手の場合、スタジアムに入ると、野性の動物のようにファイティング・スピリットを見せる。クリュフトでさえそうで、そのギャップもおもしろいところ。
 さて、そんな美しき獣たちは、この8月の14日にやって来るそうだが、香川合宿オフィシャル・ブログを見ても(見たい方はクリック)、具体的なスケジュールの記載はない。まだ、決まってないか、非公式にして混乱を避けようとしてるのか........
【トップ・アスリートに対するマナー】
 香川以外にも11ヶ所の市に、世界中からアスリートがやって来るワケで、これからの季節、日本中で大勢の人がその練習や交流イヴェントを見に、その合宿地に駆けつけることだろう。僕もカロリーナとツーショット写真を撮るというアホな夢を抱いて、必ずスタジアムに行くだろう。
 だけど、皆んな、そこでは選手を思って、最低限のマナーは守ろう。1番意識すべきことは、多くの選手たちが1生を左右するような真剣勝負を前にしてるという事だ。アスリートにとって、世界陸上はオリンピックに次ぐ大大会だ。選手たちは年初からこの日に照準を合わせてトレーニングをし、この2-3ヶ月は本番でベストを引き出すため、色んな国の大会を転戦し、かなり疲れている。
 なので、アスリートにストレスを与えるようなことをしてはならない。例えば、競技場の見学中、選手に近い場所でムービーや写真を撮ったり、ケータイの着信を鳴らしたりする。街中で、見かけると、すぐに詰め寄ってサインや写真をねだる。そういうのは、まさにサイアクだ。
 とにかく、世界のアスリートだという敬意を持って、いつも1定の距離を置くべきだ。特に有名なアスリートはどの国の人でも英語が話せるので、サインや写真がほしいなら、その前に必ず断りの言葉をかければいい。ダメと言われても、「Good Luck for Osaka!」などと大声を掛ければ、笑ってくれていい思い出になるだろう。
 とはいえ、距離を置きすぎてもダメで、選手たちには日本人や観光への好奇心もあるハズだ。彼らのそういうオープンになった空気を感じれば、積極的に接するべきだ。僕は丸亀スタジアムで、カロリーナがそんな空気になるのを、今か今かとブキミに待ち続けることだろう。他の11の市の近くに住む皆んなも、またとないチャンスなんで、どんどん応援しに行ってみればどうだろうか?

 
 これは、YouTube ユーザーが作った、カロリーナ・クリュフトの写真スライドショーなヴィデオです。
 彼女の魅力と共に、7種競技(Heptathlon)の魅力も出てて、良いです。
 


 P.S.

 ところで、僕にはスタジアムに1緒に見物に行ってくれる友達が不足している。1日だけつき合ってくれる人がいるが、僕はもうちょっと行きたい。
 なので、誰か1日、1緒に僕と見物してくれないでしょうか?
 求めてるのは気軽な見物仲間です。
 お互いの年とか職業とか出身地とかのリレキを交わすことなく、ただ純粋に「丸亀で北欧のアスリートが見たい」という意識でつながれる人です。男女問わず、人数問わず、香川県内外問わず、オバサンでも女子高生でも子供でもお年寄りでも、誰でもいいです。
 そこのキミ、もし興味があるなら、どうかコメントを。

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2007年7月29日 (日)

さようなら、オシム。

  AFC.アジア・カップ、2007-Vietnam. 7月最後の土曜の夜、その日韓戦を見ながら、これを書いている。もし、これが決勝の舞台ならBlogなど書きながらユウチョーに見れなかっただろう。何しろそうだったら、ちょうど10年前、Wカップ出場をかけたソウルでの試合以来となる、超真剣モードの日韓戦になってたからだ。けれど、このアジア・カップの日韓戦のブタイは、3位決定戦だ。にしても、日韓のライヴァル意識はまだ健在で、両チームともモチベーションは決勝並みの高さだ。今もTVの向こうでは壮絶なつぶしあいが続いてる。
 とはいえ、3位決定戦に変わりはない。選手のパッションがいかに大きくとも、見る側の空しさは埋められない。Ac07osimappointment004
【2試合で、オシムにはウンザリ】
 何にしても、この試合の結果を待たず、サッカー日本代表チームが次にやるべき事は1つ。
 それは、オシム監督をクビにするという事だ。もちろん僕も、日本のサッカー界ではこの展開が現実的じゃないことは分かってる。「就任1年で、それは早い」「オシム・サッカーが成熟してから判断すべきだ」 日本のファンやサッカー協会やメディアの多数派は、こんな反応を見せるだろう。
 僕は、オシム・サッカーをこのアジア・カップで初めてじっくりと見てみた。Q.F.と、S.F. トーナメントのこの2試合だけだが、僕にはそれで充分だった。オシムにウンザリするには、充分な2試合だった。それを通して、2年後のWカップ予選における日本代表がイメージすることも出来た。そしてそれは、悲惨な姿だった。
【トゥルシエよりも劣るオシム】
 オシムを1言で表せば、ジコチューの独裁者型カントクだ。自分を過信してて、どのゲームでもチームの主役は選手じゃなくて、自らの戦略というタイプ。と、書けば、前々回の代表監督、トゥルシエを思い出す方もいるだろう。彼もまたピッチの選手のアイデアや個人技は、自らのプランのおまけといった考え方を持っていた。この2人はその点で酷似している。そして、それはどんな世界にも通じるダメ・リーダーの典型だ。
 また、オシムの目指す、日本人の利点を生かした、“超高速、連係サッカー”。これは、すでに5年前、トゥルシエが達成したことでもある。そして、韓日Wカップ、トルコ戦の敗退で、日本のサッカーファンはその戦術の限界を思い知らされたのだ。
 要するに、このアジア・カップ-07におけるオシムは、トゥルシエの過ちをもう1度繰り返そうとしてるようにしか見えない。このアジア・カップに見る日本代表もトゥルシエ時代と変わらず、ゲームとボールは支配するが、決定力がないために試合を取りこぼす同じ悪循環にハマっている。
 いや、オシムに較べれば、まだトゥルシエの方がマシだった。彼はガンコな哲学を持ちながら、選手起用に関しては柔軟で、積極的に若手を試し、またチーム内で海外組の選手を尊重した。自らのプランを狂わしかねない個人技にすぐれた彼らをチームに歓迎したのだ。
 1方、オシムは、自分の戦術に従順な国内組のコツブ選手中心のチーム構成にしてる。カンペキな独裁体制だ。このアジア・カップのメンバーでそれを象徴してるのが、この3人。エンドウ、コマノ、カジだ。いったい、彼らはトーナメントの2試合で何度、マヌケなシュートを打ったり、精度のせの字もないクロス・ボールを上げたりしただろう。にもかかわらず、オシムは3位決定戦の日韓戦でも、彼らを先発起用している。そこにもまた、彼の無反省な過信ぶりが見れる。Pic45722
【采配なき日本の監督達】
 試合中の采配という点でも、オシムはひどい。これはトゥルシエ、また前監督のジーコの2人にも共通してるが、彼らの辞書に采配という文字はない。つまり、選手交替の判断が異常にトロく、かつセオリー通りで保守的なのだ。オシムの場合、このアジア・カップでのオーストラリア戦にそれがハッキリ出ている。後半、1-1になった後、オージーのDFが高原へのファウルで退場になった。けれど、その1人多い状況でも、オシムはまったく動かなかった。ただ、時の流れと共に、疲れた選手と同じポジションの選手を入れ替えただけだ。つまり、それはただの燃料補給であり、采配じゃない。ピッチの選手からすれば、監督不在で闘ってるようなもんだ。優れた監督なら、試合の流れと共に、当初のプランをひっくり返すような臨機応変性を見せる。それには、勇敢さや独創性が必要だ。1方、この3人の監督にあるのは戦前のプランだけで、どんな試合になってもそれを変えられない。
【不完全燃焼な過去2度のWカップの原因】
 とにかくオシムには、このアジア・カップ-07だけで充分ウンザリさせられた。日本と同じく、この大会で決勝に残れなかった実力国、オーストラリア、イラン、そして韓国の3国はすでに監督の解任を発表している。世界のサッカー界では、それが常識だ。大きな大会で、悪い試合内容で、実力以下の結果が出れば、カントクは必然的にクビになる。けれど、非常識な日本ではそうならない。
 過去2大会のWカップにおける日本の最大の敗因は何だっただろうか?
 それはカントクだ。少なくとも僕はそう確信している。無能なカントクのクビを切れず、Wカップまで延命させた結果、両大会ともに不完全燃焼な敗退をすることになった。
 5年前、韓日Wカップで、日本が負けたTurkey戦。その1番の敗因は、トゥルシエの実験的プランだ。このチームはオレのもんだと言わんばかりに、それまで勝ち続けてたチームをいじくり回し、試合中にはそれまでのチームの得点元だったイナモトを途中交替させた。去年のWカップでの予選敗退もまた、ジーコが引き金になった。彼にはそもそも采配どころかゲーム前の戦略すらなく、あるのは永久に変わらない固定レギュラーとお約束のサッカー・セオリーだけだ。予選のオージー戦では、後半次々と攻撃プランをくり出す名匠ヒディンクに対し、ジーコはただベンチの前をウロチョロしてただけだ。
【浪費させられた黄金世代】
 今回、このアジア・カップ後もオシム監督を長々と延命させれば、同じ悲劇を繰り返すだろう。それはWカップのブタイじゃなく、その予選のブタイであってもフシギじゃない。
 サッカー日本代表チームは黄金世代のピークをすぎた。すでに中田ヒデはいない。日本では50年に1人とも言える天才が、すでに早すぎる引退をしている。 前の2人のカントクが延命できたのは、この黄金世代の活躍によって結果が出てたからだ。今も同じだが、当時の日本のファンやメディアは、カントクを試合内容じゃなく結果だけで判断してた。なので、トゥルシエがシドニー・オリンピック、QFのアメリカ戦、この敗戦で無采配さをさらけ出しても、予選を突破したというだけで彼を許した。ジーコの場合は、前回のアジア・カップ全般で無能さをさらけ出しても、優勝した事でそれに目をつぶった。今振り返れば、この黄金世代の日本代表チームを、この2人のカントク初心者に預けたことは、トホ----もなくもったいないことだった。Jfa20060204zico
【バッジオが言う、冷めたスープとは?】 
 オシムの次に必要な監督の理想。それは確固とした哲学とプランを持ち、かつ試合中にそれをひっくり返すほどの臨機応変なアイデアを出し、勇敢にトライできる人。そして、自分の戦略と同じくらい、ピッチの選手の個性と判断を尊重できる人。叶いがたい理想論だが、とにかくそういう人が欲しい。
 さようなら、オシム。あなたが、もしこのアジア・カップ後も日本代表監督であり続けても、僕には関係ない。あなたは今、僕の心から消えようとしている。さようなら、オシム。
 イタリアのサッカー伝説、ロベルト・バッジオが自伝の中でこんな皮肉を言ってる。彼はビッグ・クラブの監督に返り咲いた元大監督のリッピに対し、こんなコメントをする。
 「冷めたスープを温めなおしても、元の味には戻らない。だけど、イタリア人には、冷めたスープを好きな人が多いんだよ」 オシムよ。あなたもこのバッジオが言うところの冷めたスープにすぎなかった。そして、不幸にも日本人もまた、冷めたスープを温めなおすのが好きな民族なのだ。■
 PS
 といった具合に長々とブログしてる間に、アジア・カップ-07の3位決定戦は終わった。PK戦の末に、韓国が勝利した。内容は、PKの勝ち負けを逆にすれば、QFのオーストラリア戦そっくりのヒドイものだった。過去の2監督と同じく、試合中にプラン変更の出来ないオシムの無能さがあらためて証明されたワケだ。
 その後、日テレのうるぐすを見ると、元代表のタケダが出てて、オシム解任世論にあの手この手で反論してた。その姿は、怒りやアキレを通り越して、哀れみを誘うものだった。彼もまぁよくここまで日本サッカー界の腐りきったシガラミにとらわれたもんだ。彼の姿は、今回のアジア・カップを受けた日本サッカー協会とメディアの象徴的な態度でもあるだろう。そして、彼らはまたあの老いた大男、あの冷めたスープをもう1度温めなおそうとする事だろう。■

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2007年7月 9日 (月)

100年に1度のテニス

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 ウィンブルドン-2007、男子・シングルス・ファイナルが、8日、日曜日、当地のオール・イングランド・クラブで行われた。R.フェデラー(スイス)と、R.ナダル(スペイン)という1・2シードの対決になり、両選手ともに大記録のかかった歴史的名目のある闘いになった。試合内容もそれに劣らず大接戦となり、5セットマッチで総時間、3時間45分というウィンブルドン史上3番目に長いファイナル・マッチとなった。
 勝ったのは、R.フェデラーで、スコア{7-6(9-7) 4-6 7-6(7-3) 2-6 6-2}
 これで、フェデラーは5連覇を達成。100年のウィンブルドンの歴史で、1980年のB.ボルグ以来、2人目の大記録を樹立した。1方のナダルは、これまたボルグ以来、初となる全仏・全英、連覇の夢をたたれることとなった。

【テニスって、長すぎない?】

 テニスの試合時間には、いつも不満がある。もっと短くすべきだ。ルール改正によって、それは可能だ。僕が1番に望むのは、デュース制度の緩和だ。例えば、セットの中、どちらかの選手が4ゲームを取るまで、デュースをなしにする。そうすれば、平均・試合時間は今の2/.くらいになるだろう。女子なら1時間。男子なら2時間弱。たった2人の選手があんなせまいコートで闘うスポーツには、それくらいで充分なもんだ。だから、僕はいつも男子テニスの試合は、ライブでは見ない。
 ウィンブルドン-07.決勝、Federer v Nadal.この試合は、サッカーの2試合分以上の長さ、映画「Titanic」の上映時間を遥かに超える長さになった。まったく、フザけるなという所。
 しかしだ。僕はこの3時間45分を長く感じることはなかった。時々、本を読んだり、アレしたり、別室で鈍った体をストレッチしたりしたものの、大半の時間、TVを見続けていた。芝の2人に、ずっと魅了されていたのだ。というワケで、こういうゲームには現状のルールが1番だなと学ばされたのだった。
【勝負を決めたポイント】
 Federer.と、Nadal.この2年連続の、Wimbledon・Final。これは、きっと世界のスポーツ界にとって、今年、No-1のスポーツ・モメントとなるだろう。そして、テニスの歴史にとって、100年後のテニス・ファンに語られていても、フシギじゃない闘いだ。
 この大接戦の勝敗を分けたのは、サーヴだ。 Federer.は、Fed-Express.と言われるように足が超速く、ネコのようにコートを駆け回る。それと共に、このゲームでも、サーヴが冴えていた。結果、Federer.のサーヴィス・エースは24.それに対し、Nadal.はたった1つ。Nadal.も試合後、敗因を問われて1番に挙げたのが、サーヴの差だった。彼のサーヴの平均速度は、Federer.より10マイルも遅く、女子の、V.Williams.の平均とほぼ同じ速さだ。
 しかし、ストローク合戦では、Nadal.のクセのある左手打ちが、Federer.のミスを誘う。4セットの途中では、Federer.の凡ミスが、Nadal.のそれを10も上回った。
 しかし、5セット目に入ると、それも変わる。Federer.が2度、15-40.のブレーク・ピンチを切り抜けた時だ。どの新聞・ニュースでも、そこがこのゲームの勝敗を分けた、Defining Moment.として語られている。この2度の大ピンチを、Federer.はサーヴで乗り越えたんじゃない。ストローク戦で、勝ち続けたのだ。そうなった1番の要因は、Nadal.の凡ミスだ。彼はこの1番大事な局面で、凡ミスを連発し、その後のゲームでもそれを引きずった。これはもう、チャレンジャーの最大の弱み、勝つことへの戸惑いが出たとしか言いようがない。08cndmen2_600
【素晴らしきライヴァル】
 勝利が決まった瞬間、Federer.はコートに、文字通り崩れ落ちた。スローで見ると、「フェデラー、誰かにライフルで撃たれたか?」というものだ。それは、物静かな彼の内側に、どれだけパンパンに張り詰めたエナジーがあったかを伝える。
 しかし、この日の、Federer.は、いつものジェントルマン・スタイルを貫けなかった。新導入された、Hawk eye Challenge.で、ことごとく不利な判定を下され、4セット目には主審に毒づくばかりか、椅子に座ると、「Shit! It(Hawk Eye)is Killing me today.」ともらした。そして、5セット目には、Nadal.顔負けの闘志溢れるプレーを見せた。もちろん、そんな、ジェントルマンの野生を引き出せるのは、Nadal.だけであり、まさに好敵手である。
【フェデラーのハート】
 僕がこのゲームで最も心を動かされたのは、Federer.のネット・ダッシュだ。Nadal.のパッシング・ショットは天才的で、Fed.はネットに出るたびにポイントを失った。が、幾ら抜かれても、Fed.は、当たり前のように何度もネットに突進してゆく。そこには、スポーツを超えた美学があった。そこには、見る人の人生までポジティヴに変える力があった。Federer.がテニス・コートでネコのようにネットへ詰めてゆくのが見れる限り、この世界は大丈夫だな。彼を見てると、そんな臭いセリフがポロっと口から出てきたりもした。
 幾ら、Nadal.がサーヴの精度を上げても、こういうハートがある限り、Fed-Express.は止まらない。そう確信させるプレーだった。Wimbledon.6連覇と言わずに、8連覇を期待したい。前人未到のその連覇記録と共に、Pete Samplus.の持つ7回制覇の記録をも打ち破ってほしい。Federergirlfriend2163

【恋の5連覇達成!!!

 ところで、この試合には、もう1つの5連覇があった。それは、ファミリー・ボックスで応援してた、Federer.の恋人だ。
彼女は確か、Federer.が、Wimbledon.初制覇した時にも、そこにいたような気がする。つまり、彼女はこの5年連続、Fed.の恋人の座についているのだ。この若くてハンサムなチャンピオンの人生には、もちろん数限りない女の誘惑があるハズで、その中で、5年もずっと彼を手中にしてるのは、まったく奇跡的だ。もう、結婚してるとしてでも、すごい。
 また、今年に見る彼女は、まるでサイのような巨体に変貌してて、Federer..をキープ出来てるナゾは、ますます深まるばかりだ。とにかく、カレシがスポーツの世界でそうしたように、彼女の方は恋の世界で大記録を達成したと言える。■

P.S.
フローラン・ダバディーさんのブログで、Federer.のコミカルなNIKE・CMを見つけたよ。
 Sharapova.のCMといい、NIKEのCMのセンスの良さには、いつも感激。
 Federer.が見たい人は、
こちら。
 
Sharapova.が見たい人は、こちら。 英語が聞き取れなくても、内容は分かるよ。

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2007年7月 5日 (木)

100%のヴィーナスには誰も勝てない。

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ウィンブルドン・2週目の水曜日、女子シングルスの4回戦。今大会・No-2シードのM.シャラポワと、ウィンブルドン3回の優勝歴がある、V.ウィリアムスが対戦。スコア{1-6.3-6}で、ウィリアムスが勝利した。試合全般を通じて、ウィリアムスのサーヴが冴え渡り、シャラポワはリターン・ゲームで1つのブレークもできず、デュースもわずか1回に止まった。その結果、試合時間、1時間20分のワンサイド・ゲームに終わった。
 1方、同日に行われた女子シングルス・準々決勝では、今大会・No-1.シードの、J.エナンと、過去2回優勝の、S.ウィリアムスが対戦。スコア{6-4.3-6.6-3}で、エナンが勝利した。エナンは、知的な戦略と多彩な技で、S.ウィリアムスのミスを誘うプレーに専念した。芝の対戦では分が悪いエナンだが、S.ウィリアムスはテーピングを脚の下半分に巻くほどに足を負傷しており、それが勝負の行方を左右することにもなった。

 4回戦について言えば1言。「Venus.アンタ、強すぎだよ。全然、年取ってないじゃん、アンタ、バケモンだよ。」 という所。とにかく、Shareapova.のテニスがどうこうという問題じゃない。Venus.の妹、Serena.がよく「私が100%の力を出せれば、誰も勝つことは出来ない」と言ってるが、それはもちろん姉にも当てはまる。このゲームで、Venus.はそういう圧倒的なプレーを見せつけた。この、Venus.にはおそらく、全盛期のグラフやナブラチロワでも勝てないだろう。
 また、Sharapova.は肩を負傷していた。この数ヶ月、試合がない期間でも、毎日2時間半の治療を受けていたという。強風もあったが、この試合で彼女のサーヴが乱れたのも、そういうワケがある。試合後の彼女のコメントでは、「2セット目から、サーヴのスピードが普段の115マイルに達して、かなり安心した。だけど、これからすぐ家に帰って、ドクターに肩を緊急診療してもらう」ともらした。
 そして、Venus.の脅威はサーヴやストロークのパワーだけじゃなく、フットワークにもある。コートの端から端まで豪速球で振られても、返せますよ!というスピードなのだ。それはまさに、バケモノだ。
 それでも、この試合、Sharapova.は、裏をつくボール運びで幾つもウィナーを決めた。また、過去の敗戦の経験を生かし、まともに打ち合わずにロブなどの小技を多用した。が、それでも、Venus.のパワーとスピードには、まるでかなわなかった。
 このゲームを見た世界中のテニス・ファンは、きっと今大会の女子の優勝者が、Venus.だと確信したことだろう。No-1.シードの、Henin.にしたって、彼女にはコテンパンにやられるに違いない。B_10_henin_269_gettyimages_a_livesey_1

 Henin.は同日のQ.F.で、Venus.の妹の、Serena.に競り勝った。しかし、Serina.は足の下半分をテーピングでグルグル巻きにするほどに負傷していたのだ。
 確かに、このゲームの、Henin.は素晴らしかった。スマートな展開と豊富なショットが冴え渡っていた。トップ・スピン・ロブに、ドロップ・ショット。特に相手のパワーを利用して放つ、ライジング・ショットが良く、その創始者たる伊達公子のキレを上回るものだった。それらによって、Henin.はゲーム展開に緩急をつけ、Serena.のミスを呼び込んだ。まったく、Sharapova.にも、こういう頭と技があったらなぁと思わせるものだ。
 だがもし、Serena.の足の負傷がなければ、Henin、に勝つ見込みはなかっただろう。Henin.の戦術の核は、Serena.の負傷した足に体重を乗せさせるような動きを引き出すことにあり、彼女はそれに見事に成功した。

 決勝はおそらく、Henin.と、Venus.のカードになるだろう。そして、僕が思うにそうなれば、Venus.の楽勝に終わり、Henin.の生涯・グランド・スラムの記録の夢は果かなく消えることだろう。というのも今の、Henin.以上に頭と技のあった全盛期の、Martina Hingis.でさえ、Venus.のパワーとスピードには勝てなかったのだ。Venus.が自滅しない限り、彼女の、Wimbledon.4回目の優勝は固い。

 ところで、Venus.と、Sharapova.の試合には、1つ大きな疑問点がある。これが、4回戦のカードだという事だ。Wimbledon.公式ウェブの記事にもあったが、これは明らかに早すぎる対戦だ。もちろん、そうなるのは、Venus.のシードが23位と低いからだ。が、彼女の、Wimbledon.での実績と今のコンディションの良さを考えれば、トップ・シードでもおかしくない選手だ。
 Wimbledon.は、WTAランク以外の要素も混ぜて、トーナメント・ドローを作るべきだ。何にしても、Sharapova.の早期敗退は、Wimbledon.への世界のメディアと人々の関心を最も失わせるもので、1番に大損するのは、All England Club.に他ならない。B_10_vwilliams_217_gettyimages_c_brunski

 1方、Venus.のシードが低いのにはワケがある。彼女は間違いなく、WTAのランク・アップよりも、グランド・スラムに照準を当てるキャリア路線を取っている。それに対し、大半の選手は、グランド・スラム前に試合に多く出て、ランク・アップを図る。そうすればグランド・スラムの早い回で、強豪選手とやらずに済むからだ。しかし、その代償として、過密スケジュールによって、ケガをすることになる。
 今大会の、Sharapova.もその犠牲者だし、最近、24歳の若さで引退した、クライシュテルスもそうだ。そこには、この数年の女子テニス界の大ブームもある。それによって、試合数が増えたため、選手生命が恐ろしく短くなってきているのだ。
 その背後には、非人道的で強欲な、WTAがある。Venus.のキャリア路線は、それに反抗するという意味でも有意義なものだ。彼女のように実力があれば、幾らシードが低く、グランド・スラムの序盤で強豪と当たっても、勝ち抜いてゆける。何にしても、ケガで選手人生を縮めるよりは、遥かにマシだ。今大会、Venus.が優勝すれば、その路線に転向する選手はもっと増えることだろう。■

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2007年7月 4日 (水)

ヴァイディソワと、ヒトラーのちょっとした関係

 ウィンブルドン・2週目の月曜、女子シングルス・4回戦。去年のチャンピオン、A.モーレスモ.と、チェコの18歳、N.ヴァイディソワが対戦。{6-7・6-4・1-6}のスコアで、ヴァイディソワが勝利した。今大会、1番のアップセットになりそうなこのゲームは、3度の降雨中断をはさむ2時間以上の長期戦となった。
 僕はNHKの深夜放送で見ていたが、ホントに長く感じさせるゲームだった。現地解説者の、John McEnroe.が、「毎年信じられなく思うのが、こんな雨でクソ長くなった試合をずっと見続けてくれる、このWimbledon.のお客さんだ」みたいな相変わらずのイギリス人への皮肉めいたアメリカン・ジョークを言ってた。
 しかし、僕にとってそれより信じられないのは、NHKだ。NHKは録画放送なのだが、ほとんどカットせずに流しているのだ。しかも、深夜0時から、3時前までの間だ。そこには、娯楽を提供するメディアの誠意のセの字も感じられない。また、それは毎年のことだ。これで、月・2000円以上の視聴料の値下げをしぶってんだから、いい気なものだ。NHKが完全料金制度にしないのは、そうすれば集金世帯が今の10%以下になるからにすぎない。と、ここでNHK批判してもしょうがないけどね。4_1
  そんな腐りきった公共放送曲でも、この夜の試合選択は正しかった。僕はTVに、Mauresmo.が映るとチャンネルを変えようとしたが、その相手が、Vaidisova.だと分かると、1気にマヌケづらになった。そして、この試合が何時間になろうとも最後まで見ようと決意した。
 というのも、テニス・ファンならご存知だろうが、Vaidisova.はカワイイのだ。まだ、Sharapova.には遥かに及ばないものの、今女子テニス界では、人気No-2.の選手だ。このゲーム、McE
nroe.と1緒に解説する、Tracy Austin.によると、彼女はすでにモデルの世界でも、大忙しだそうだ。
 そして、このゲームに見る、Vaidisova.もまた魅力的だった。顔は、“Swimming Pool”などに出てるフランスの若手女優、Ludivine Sagnier.をもっとタフにした感じ。服は胸元がグッと開いたもので、18らしく弾けるような色気がある。全体的にノンビリとした心優しい感じだが、見るものをハっとさせるような美しさも秘めている。
 そんなワケで、30男の僕もすぐに、トリコになった。
 
 だが、もちろんテニス選手としての才能もある。このゲームで最も光ったのは、片手打ちのフォアだ。それは優雅な動きと共に、強く鋭く、そして深く相手コートに突き刺さる。ちょっと顔も似てるが、まるで、Steffi Graf.のフォアさえ思い出させるような、ビックリの才能。
 そして、メンタルも強い。1セット目のタイ・ブレークで、Mauresmo.に、6-3.とリードされてても、決して集中力を切らすことはなかった。結局、そこから5ポイント連続ダッシュして、大逆転を果たした。
 それと逆に、Mauresmo.は、メンタルの弱さが出た。元々、感情の浮き沈みの激しい性格なうえに、この日は3度のレイン・サスペンディッドで、それがさらにかき乱されたようだ。最後のゲームでは、ボールを客席に打ってコード・ヴァイオレーションを取られる始末。結局、3セット目は、1ゲームしか取れず、彼女のWimbledon.2連覇の夢は消えた。

 ところで、僕は小説片手に、このNHKが流す長いゲームを見ていた。「サンショウウオ戦争」というタイトルのSF小説の古典的名作だ。それを読んでると、フイにある偶然に気づいた。その作者のチャペックが、チェコ人であり、TVの向こうで芝のコートを駆け回る少女、Vaidisova.もまた、チェコ人なのだ。
 そこで、長いゲームのヒマつぶしにと、僕はPCを起こし、Vaidisova.のバイオを調べた。1989年生まれの18歳。育ちはチェコのプラハだが、生まれはドイツのニュルンベルグ。
 ニュルンベルグ。そこで、僕の頭にカギ十字のマークが浮かんだ。ニュルンベルグとはナチス発祥の地で、ヒトラーが初めて首相になったのもそこでの事だった。それから、僕はついでに、ヒトラーのWikipedia.も見てみた。生まれはオーストリア。誕生日は、1889年、4月20日。
 と、そこで僕は、ハっとなった。すぐにネットを先のページに戻し、もう1度、Vaidisova.の誕生日を見る。そこには、1989年・4月23日とある。Adolf_hitler
 つまり、Vaidisova.は、ナチスの象徴的な街で、ヒトラー生誕100周年からわずか3日後に生まれたことになる。それはまったく数奇なことで、本人もこの忌まわしい偶然を知ってるかも知れない。まさかその呪いから逃げたワケじゃないだろうが、Vaidisova.は、その後、チェコに移住する。しかし、ヒトラー率いるナチスもニュルンベルグで誕生後、チェコを侵攻している。その後にフランスを落とし、西ヨーロッパ大陸を支配する事になる。
 1方、TVの向こう、Wimbledon.の芝の上で、Vaidisova.が戦ってるのは、Mauresmo.彼女の出身国はフランスだ。そんな偶然に気づいてから約1時間後、ヒトラーの影に彩られた美少女は、フランスのタフな娘を打ち負かした。 
 こんな風に、ちょっと想像を働かせば、まったく異なる物事が偶然にシンクロする事があるものだ。ごくたまにだが、そんな自分のバカな妄想と、現実が符号すると、ちょっと気持ちがいい。
 ちなみに、Vaidisova.が次のQ..で勝てば、セミ・ファイナルでは多分、Sharapova.か、V.Williams.と当たる。前者はロシア出身で、後者はアメリカ。もし、Vaidisova.がセミでこの2人のどちらかに負ければ、その時、この僕の妄想は完ぺきなものになる。■

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2007年7月 1日 (日)

水嫌いの白鳥、シャラポワ。

Swan_dressウィンブルドン、1週目・最終日の土曜、女子シングルスの3回戦で、今大会No-2シードのMaria Sharapova.と杉山愛が対戦し、スコア・6-3、6-3で、Shayapova.が勝利した。2セット、1時間強の短い試合だったが、全般的に2人はほぼ互角にプレイし続けた。ただ、ゲームの要所になると、Sharapova.が驚異的なファイティング・スピリットとパワーを見せつけ、杉山を圧倒した。また、ゲームの最終盤、審判による雨天延長の取り消しが、杉山にとっては大きな痛手となった。(このゲームについての、Wimbledon.公式ホームページによる記事のリンク) 
 この試合で、1番目を引いたのは、ゲーム内容じゃなく、Sharapova.の“Swan Dress”だ。白鳥の湖にインスピレーションを得たらしく、この写真のドレスがそうだ。白鳥の湖というバレエ曲は、ロシア人のチャイコフスキーが作曲したものなので、おお、シャラポ、まだロシア人の魂を捨ててないな、と思わせもする。が、彼女はそれについて、こんなコメントをした。
“it doesn't look as swan-ish as it does on me.” (白鳥っぽいていうか、私らしい格好だわ。) というワケで、さすが、個性派、Sharapova. 
 Wimbledon.を仕切ってる、All England Club.という組織には、White Dress Code.という伝統のルールがある。それは、すべての選手の身につける服を、白で統一するというものだ。そのため、ファッション好きの、Sharapova.は、このルールに、いつも反抗的だ。今回の、Swan Dress.は、彼女のこの4年の出場歴の中でも、最もユニークなものだ。なので、頭ガチガチの、All England Club.は否定的な態度を示した。が、Sharapova.は色が白ならどんな創造的なドレスでも、伝統的でしょ、と応戦。
 また、それにちなんで、彼女は1つジョークを言った。Wimbledon.には、Hawk Patrol.(タカの監視)と呼ばれる伝統があって、毎朝、ハトの被害から芝のコートを守るために上空にタカを放ってパトロールさせるらしい。それに引っ掛けて、Sharapova.は
 
"Does a hawk usually bite a swan?" she asked. "Jesus, I might have to cut those pleats away."(タカって白鳥もかむのかな? ドレスのプリーツをカットした方がいいかもね)とコメント。相変わらず、ユーモアのセンスも抜群という所。だけど、しょっちゅう絶叫する187cmの白鳥には、さすがのタカも攻撃できないだろう。

 さて僕の目には、この、Swan Dress.は、Sharapova.に似合ってないと思える。このドレスは世界中で話題になってて、メディアでは、“7年目の浮気”のマリリン・モンローのそれや、アカデミー賞の歴史にサンゼンと残る、あのBjork.のそれと較べられている。(写真参照) Bjorksswandresswillbeauctionedforcharity
 僕が思うに、この白鳥ドレスは、この2人のように小柄で、足が短い人に似合う。特にモンローの大根足は、このドレスによって素晴らしくセクシーに見える。 が、187センチの細身で足も超長い、Sharapova.が着ると、ちょっとマヌケだ。キリンがフリフリのフリル・ドレスを着けてるような感じ。そう思うのは僕だけだろうか? まだ、ハタチなんでキュートに行きたいのは分かるが、その驚異的なスパモ体型には、やはりクール・ビューティーな格好が1番映える
(この、Swan Dress.についての、Daily Mail.記事のリンク)

 試合の内容で、1番印象的だったのは、審判による雨天延長の取り止めだ。
 Sharapova.が杉山相手に、3つのマッチ・ポイントを握った所、そのゲームの最後の最後の局面で、雨が激しく降ってきたのだ。普通なら、すぐに、Rain Suspension.が掛かり、選手は退場し、コートにカヴァーが敷き詰められるところだ。この日の審判は、そこで審判台を離れた。が、会場の観客からの大ブーイングに引き戻されるように、また審判台に座り、試合を続行させた。それから、Sharapova.は、2つを逃しながらも、3つ目のマッチ・ポイントでストロークを決め、勝負を終えた。それで、延長を免れた観客は、大いに沸いた。
 この判断は、正しかったのか?
 僕の答えは、YES,だ。 確かに、選手、杉山の立場からすれば、この延長中止の判断は痛い。いくら、相手にマッチ・ポイントが3つある状況でも、休憩をはさめば流れは変わるかも知れない。何より、スポーツ選手にとって、良いコンディションでの勝負はとても大切な事だ。
 だが、観客にとって、延長の判断は、あまりに重い。あと、1ポイント取れば、勝者が決まるという段階で、延長に入るのはコクだ。少なくとも30分は待たねばならない。スポーツは1番に娯楽であり、見る側の要求にもこたえる必要がある。また、何よりも、もし杉山がこの3つのマッチ・ポイントをしのいでいれば、雨天延長になっていたのだ。
 ここで印象的なのが、ゲームが終わって、1番に審判に抗議したのは、勝者の、Sharapova.だった事だ。しかも、それは杉山の抗議よりも遥かに迫力があった。同じテニス選手として、杉山の悔しさが分かったのか、もしくは良いコンディションの下で正当な勝者となりたかったのか。
 
 また、その後にオモシロイことがあった。猛抗議しながらも、すぐにコロっと態度を変えた、Sharapova.は、いつものように観客に対して、キュートな“Wave and Kiss”のパフォーマンスを見せた。だが、それはもちろん大雨の中。彼女はすぐに、1刻も早くカヴァーで芝のコートをおおいたい係の人たちの殺気に気づき、急いで荷物をまとめて、コートを後にした。僕も、Wimbledon.を熱心に見始めて10年になるが、こんなにオモシロイ終わり方は他にない。現地のイギリス人司会者も、コートを走り出る、Sharapova.には大笑いしていた。
 それにしても、Swan Dress.をつけた、Sharapova.が水から逃げてゆくとは、全く皮肉な幕切れだ。ヒラヒラのフリルを揺らしながら走り去って行くその姿は、ホントに可笑しなものだった。■

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2007年6月 8日 (金)

シャラポワ、決勝前に完敗。

 シャラポ(いつも僕はこう呼ぶ)が負けた。フレンチ・オープン、セミ・ファイナルでだ。
 相手は、セルビアの19歳、アナ・イワノビッチ。無名だがWTAランク・7位の選手で、クウォーターでは、WTA3位のクズネトゥアを倒してて、実力急上昇中。
  そしてこのセミでは、2位のシャラポを倒した。2セット、69分のゲームで、シャラポは3ゲームしか取れなかった。まさに完敗だ。63 
 またこの2人は、今年冬の東京で対戦している。その時は、シャラポのケガによる棄権負けだった。その時、トレーナーが彼女に施した太ももマッサージが記憶にある人もいるだろう。
 ちなみに、僕はその試合をTVで見る自分をパロったコメディーをYouTube.に送ってて、このブログのサイド・バーにも貼ってるんで、笑いたい人は見てください。たぶん、笑えるはず。
 さて、この試合に戻ると、このココログに掲載されてるフローラン・ダバディーさんのブログにも書かれてるように、このゲームのシャラポのプレイは単調すぎた。
 シャラポは、ハードヒッターが相手だと、それと同じように打ってでて力負けして終わることが多い。彼女の負け試合の1番のパターンと言える。前回グランド・スラム、オーストラリアンの決勝のセリーナ戦でも、そうだった。
 で、そうなる原因は、もちろん彼女のクレイジーな負けず嫌い病にある。
 
 またダバディーさんのブログには、今大会のロラン・ギャロスでのシャラポに関するエッセイがある。それは、ホントに素晴らしい内容で、彼女のテニスに関して知ってるようで、何も知らなかった自分に気づかされた。
 フランス大統領選に関するエッセイもそうだったが、ダバディーさんのブログはいつも何かに対する、新鮮で深遠な視点を与えてくれる。
 これを読んでくれてる方の中に、シャラポがテニス選手として、どこがズバ抜けてるのか知りたい人は、このダバディー・ブログを読んで下さい。 
  ところで、僕はシャラポの大ファンだ。彼女がグランド・スラムで負けると、いつもすごい虚脱感を覚える。
 カラダの中にあった大きな熱がフっと消えてしまったような感じ、自分の中の1部が死んでしまったような感じだ。アホらしくも、僕はそれくらい彼女にイカレてる。最近、イチローの連続試合安打が途切れた時にも、それを感じた。
 まぁ、シャラポの真価はウィンブルドンでこそ発揮されるので、それに期待しよう。

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